こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは建設業許可を専門としており、建設業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。
自分は個人事業主で法人ではないけど許可取れるのかな?
個人で許可取得するよりも法人にしてから取得した方が良いのかな?
これらのお悩みの場合にどのようにしたら良いのかを解説します!
1.個人事業主(一人親方等)が建設業許可取得するために
建設業許可は法人のみが取得できると思われている方がいらっしゃいますが、個人(一人親方等)でも取得することができます。
では、「許可を取得するための要件は法人よりも難しいのでは?」と思われるかもしれませんが、原則として法人の場合と許可要件は同じことが多いです。ただし、要件の証明方法が多少異なってきます。許可の要件は下記の6つです。
- 経営業務の管理責任者
- 専任技術者
- 財産的基礎
- 誠実性
- 欠格要件
- 社会保険
6つの各要件の詳細については以下よりご参照ください。
2.個人と法人の許可取得による違いとは?
建設業許可を取得する際に、「個人」と「法人」別にメリット・デメリットを比較したい思います。
個人のメリット
個人の場合のメリットは主に以下の4つになります。
- 法人設立に伴う事務・費用負担なし
- 法人と比較して必要書類が少ない
- 後から法人成りすることもできる
- 従業員が4名以下の場合、健康保険・厚生年金の加入が不要(雇用保険は必要)
個人のデメリット
個人の場合のデメリットは主に以下の3つになります。
- 許可取得者(個人)が亡くなった場合、原則建設業許可を引き継ぐことができない
※30日以内に認可申請すれば可(詳細は以下記事を参照してください) - 許可を取得しても、個人事業主(一人親方等)とは取引しない業者もある
- 金融機関の信用が低いため、融資を受けにくい
個人のメリット・デメリットをまとめると以下表になります。
メリット | デメリット |
---|---|
法人設立に伴う事務・費用負担なし | 許可取得者(個人)が亡くなった場合、原則建設業許可を引き継ぐことができない |
法人と比較して必要書類が少ない | 許可を取得しても、個人事業主(一人親方等)とは取引しない業者もある |
後から法人成りすることもできる | 金融機関の信用が低いため、融資を受けにくい |
従業員が4名以下の場合、健康保険・厚生年金の加入が不要(雇用保険は必要) | ー |
2-2.法人のメリット・デメリット
続いて法人の場合を見ていきましょう。まずはメリットからです。
法人のメリット
法人の場合のメリットは主に以下の3つになります。
- 社会的な信用度が上がる
- 節税につながる可能性がある(※)
・欠損金の繰越期間7年(個人は3年)
・法人税率は一定(所得税は累進課税)など - 資金調達がしやすい
(※)税理士にご相談ください。ご紹介も可能です。
法人のデメリット
法人の場合のデメリットは主に以下の3つになります。
- 法人設立に伴う事務・費用負担が増える(登記・決算の複雑化等)
- 社会保険の加入(個人事業主の場合でも形態により加入義務あり)
- 赤字でも法人住民税がかかる
法人のメリット・デメリットをまとめると以下表になります。
メリット | デメリット |
---|---|
社会的な信用度が上がる | 法人設立に伴う事務・費用負担が増える |
節税につながる可能性がある | 社会保険の加入 |
資金調達がしやすい | 赤字でも法人住民税がかかる |
3.「法人」と「個人」どちらが多いか?
上記で法人・個人のメリット・デメリットを見てきましたが、建設業許可を保有している方の割合はどのようになっているのでしょうか。
以下の表をご覧いただくと、「個人」は14.9%、「法人」は85.1%であることが分かります。
法人の方が税金・社会保険等の費用はかかりますが、業務の特性上信用性が非常に大切である業界ですので、法人の方が割合は多くなっています。
4.まとめ
個人事業主(一人親方等)でも建設業許可を取得できるということ、また個人・法人それぞれのメリット・デメリットを解説してきました。
必ずしも「個人の方が良い」、「法人の方が良い」ということではなく、自身の事業の今後を見据えてどちらが良いのかを選択して決めていく必要があります。
自分は個人で許可を取得するのか、それとも法人化してから許可を取得するのかは上記のメリット・デメリットを参考にして決めてみてはいかがでしょうか。
以上です。ご参考になりましたでしょうか。
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