【経営事項審査(経審)】知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)について解説いたします!

    こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは建設業許可を専門としており、建設業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。

    今回は経営事項審査(経審)の簡単な説明とその評価基準の一つである「担い手の育成及び確保に関する取組の状況」における「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)」について解説させていただきます。

    この「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)」は、審査基準日が令和3年4月1日以降に経審の申請をする際に新たに適用されますので、申請する際は必ず確認しておきましょう。

    なお審査基準日とは会社の「決算日」のことです。経審の申請日ではないので注意しましょう。

    では本題に入る前に、経営事項審査(経審)とは、どのようなものなのでしょうか?

    目次

    経営事項審査(経審)とは?

    経営事項審査(経審)とは、企業の経営規模、経営状況、技術力、その他審査項目(社会性等)を総合的に分析し、その企業の総合評定値(P)を客観的に算出する審査です。

    公共工事を発注者から直接請け負うためには、経営事項審査を受ける必要があります。

    経審を受けるメリットとして主に以下の3つがありますので、これから公共工事も受注して新たな売上の柱を作りたい建設業者さんにはおススメの制度になります。

    経審を受ける主なメリット
    • 公共工事の入札の参加が可能になる
    • 客観的な自社の経営力や技術力等について把握できる
    • 要件が設定されている民間工事(経審の点数〇〇〇点以上等)に参加できる

    では次に経審の総合評定値(P)とはどのように算出するのでしょうか?

    総合評定値(P)の算出方法と審査項目

    経審の総合評定値(P)の式は以下のように表されます。

    P = 0.25 × X1 + 0.15 × X2 + 0.20 × Y + 0.25 × Z + 0.15 × W

     経営規模:X1、X2
     経営状況:Y
     技術力 :Z
     その他審査項目(社会性等):W

    建設業者さん各々の状況を4つの評価基準である「経営規模・経営状況・技術力・その他審査項目(社会性等)」から評価することが経審になります。

    本記事では、社会性等における「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)」の点数アップのポイントについて解説いたします。

    経営事項審査全体の説明については以下を参照してください。

    では、「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)」について説明させていただきます。

    知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)とは?

     雇用する技術者及び技能者の知識及び技術又は技能の向上に努めている企業を加点評価します。具体的には以下の算出式で算出した値を算出テーブルに当てはめて算出します。

    W1-⑧の算出式

    (①技術者数 / (②技術者数+①技能者数) × ③技術者1人当たりのCPD取得単位数) + 
    (①技能者数 / (②技術者数+①技能者数) × ④技能者1人当たりの技能レベル向上者数)

    ここで上記の算出式の用語(技術者数、技能者数、技術者1人当たりのCPD取得単位、技能者1人当たりの技能レベル向上者数)についてそれぞれ解説いたします。

    ① 技術者数

    技術者数は、監理技術者になる資格を有する者、 主任技術者になる資格を有する者、一級技士補及び二級技士補の数の合計になります。

    ② 技能者数

    技能者数は、審査基準日以前3年間に、建設工事の施工に従事した者であって、 作業員名簿を作成する場合に建設工事に従事する者として氏名が記載される者の数になります。

    ただし、建設工事の施工の管理のみに従事する者(監理技術者や主任技術者として管理に係る業務のみに従事する者)は除きます。

    ③ 技術者1人当たりのCPD取得単位数

    「技術者1人当たりのCPD取得単位数」は、以下の計算式で算出します。

    技術者1人当たりのCPD取得単位数の算出式

    技術者1人当たりのCPD取得単位数 = CPD単位取得数 / 技術者数 
    (各技術者のCPD単位の上限は30です。)

    CPD単位取得数

    CPD単位取得数とは、技術者が審査基準日以前1年間に取得したCPD単位によって修得を認定された単位数を、 CPD認定団体ごとに決められた数値(以下表)で除し、30を乗じた数値の合計数をいいます。(小数点以下の端数がある場合は切り捨てます。また、30を超える場合は30 とします。)

    CPD認定団体数値
    公益社団法人空気調和・衛生工学会50
    一般財団法人建設業振興基金12
    一般社団法人建設コンサルタンツ協会50
    一般社団法人交通工学研究会50
    公益社団法人地盤工学会50
    公益社団法人森林・自然環境技術教育研究センター20
    公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会50
    一般社団法人全国測量設計業協会連合会20
    一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会20
    一般社団法人全日本建設技術協会25
    土質・地質技術者生涯学習協議会50
    公益社団法人土木学会50
    一般社団法人日本環境アセスメント協会50
    公益社団法人日本技術士会50
    公益社団法人日本建築士会連合会12
    公益社団法人日本造園学会50
    公益社団法人日本都市計画学会50
    公益社団法人農業農村工学会50
    一般社団法人日本建築士事務所協会連合会12
    公益社団法人日本建築家協会12
    一般社団法人日本建設業連合会12
    一般社団法人日本建築学会12
    一般社団法人建築設備技術者協会12
    一般社団法人電気設備学会12
    一般社団法人日本設備設計事務所協会連合会12
    公益財団法人建築技術教育普及センター12
    一般社団法人日本建築構造技術者協会12

    技術者1人当たりのCPD取得単位数

    上記で求めた「CPD単位取得数」を用いて、「技術者1人当たりのCPD取得単位数」を計算します。

    技術者1人当たりのCPD取得単位数の算出式

    技術者1人当たりのCPD取得単位数 = CPD単位取得数 / 技術者数 
    (各技術者のCPD単位の上限は30です。)

    計算した「技術者1人当たりのCPD取得単位数」を以下表に当てはめて、W1-⑧の算出式に使用する数値を算出します。

    技術者1人当たりのCPD取得単位数数値
    3010
    27以上 30未満
    24以上 27未満
    21以上 24未満
    18以上 21未満
    15以上 18未満
    12以上 15未満
    9以上 12未満
    6以上 9未満
    3以上 6未満
    3未満

    ④ 技能者1人当たりの技能レベル向上者数

    「技能者1人当たりの技能レベル向上者数」は以下の計算式で算出後、百分率で表した数値を表に当てはめて算出します。

    技能者1人当たりの技能レベル向上者数の算出式

    技能レベル向上者数 / (技能者数 - 控除対象者数)
    (分母(技能者数-控除対象者数)が0のときは、0とする。)

    技能レベル向上者数

    技能レベル向上者数は、技能者のうち、審査基準日以前3年間に、認定能力評価基準により受けた評価の区分が、 審査基準日の3年前の日以前に受けた最新の評価の区分より1以上、上位であった者の数とします。

    技能者1人当たりの技能レベル向上者数数値
    15%以上10
    13.5%以上 15%未満
    12%以上 13.5%未満
    10.5%以上 12%未満
    9%以上 10.5%未満
    7.5%以上 9%未満
    6%以上 7.5%未満
    4.5%以上 6%未満
    3%以上 4.5%未満
    1.5%以上 3%未満
    1.5%未満

    レベル3や4の申請をするために、まずレベル2を取得する必要はありません。 最初からレベル3やレベル4を申請することが可能です。

    ただし、レベル4を申請するためには、レベル4に定められた保有資格を満たす他に、 レベル3とレベル2に定められた保有資格の要件についてもそれぞれ満たしている必要があります。

    控除対象者数

    控除対象者数は、技能者のうち、 審査基準日の3年前の日以前に、能力評価基準により評価が最上位の区分に該当するとされた者の数とします。

    以上により、「W1-⑧の算出式」の計算ができるようになります。

    W1-⑧の算出式

    (①技術者数 / (②技術者数+①技能者数) × ③技術者1人当たりのCPD取得単位数) + 
    (①技能者数 / (②技術者数+①技能者数) × ④技能者1人当たりの技能レベル向上者数)

    知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)の算出方法

    「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W1-⑧)」の評点は、「W1-⑧の算出式」で算出した値を以下の算出テーブルに当てはめて算出します。

    算出値評点
    1010
    9以上10未満
    8以上9未満
    7以上8未満
    6以上7未満
    5以上6未満
    4以上5未満
    3以上4未満
    2以上3未満
    1以上2未満
    1未満

    W(その他審査項目(社会性等))の算出方法

    これまではW1-⑧の算出方法を見てきました。次にW(その他審査項目(社会性等))全体の算出方法を見ていきましょう。

    W(その他審査項目(社会性等)):
    W1 + W2 + W3 + W4 + W5 + W6 + W7 + W8 )× 1,750 ÷ 200

    この式のみではどのくらいの点数が付与されるのか分かりにくいので、具体例を見てみましょう。

    W1-⑧(知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況)が「10点」の場合を見ていきましょう。

     10 × 1,750 ÷ 200 = 87.5点 となります。

    総合評定値(P)に換算すると、0.15 × 87.5(W) = 13点 となります。(※他の評価項目除く)

    W1-⑧(知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況)の点数アップのポイント

    W1-⑧(知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況)について算出方法が分かったところで、どのようにして点数を上げていけば良いのでしょうか?点数アップのポイントを紹介いたします。

    • 技術者がCPD単位を取得する
    • 技能者が技能レベルを向上させる

    まとめ

    今回は経営事項審査(経審)の簡単な説明とその評価基準の一つであるその他審査項目(社会性等)における「W1-⑩(建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況)」のポイントについて解説させていただきました。

    主なポイントは以下のとおりです。

    • 技術者がCPD単位を取得する
    • 技能者が技能レベルを向上させる

    弊所では経審から公共工事受注までの一連のサポートをさせていただいておりますのでお気軽にご相談いただければと思います!

    以上です。ご参考になりましたでしょうか。

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