建設業許可を取得するのに営業所は自宅でも大丈夫? ~建設業許可専門の行政書士が解説いたします!~

    こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは建設業許可を専門としており、建設業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。

    今回は建設業許可を取得するにあたり、営業所が自宅でも大丈夫であるのかについて解説していきます。

    建設業許可取得には大きく分けて6つの要件がありますが、それとは別に「営業所の要件」も存在します。
    本記事では「営業所が自宅でも大丈夫なのか?」、「そもそも建設業法における営業所って何?」といったような疑問について詳しく解説させていただきます。

    それでは、まずは営業所について見ていきましょう。

    目次

    営業所とは?

    そもそも営業所とはどのようなことを意味しているのでしょうか?

    営業所とは、請負契約の締結に関する実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所のことです。

    少し難しい表現になっていますが、簡潔に表現すると、「実際に建設工事の請負契約をする事務所」という認識で大丈夫です。

    よって以下の場合は営業所(実際に建設工事の請負契約をする事務所)には該当しないので注意しましょう。

    • 単なる登記上の本店に過ぎないもの
    • 建設業と無関係な支店
    • 請求や入金等の事務作業のみを行う事務所・事務連絡所
    • 工事作業員のための工事現場事務所や作業所等

    なお、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば、営業所に該当します。

    ではそもそもなぜ営業所を設置する必要があるのでしょうか?次の章で解説いたします。

    営業所の必要性

    営業所がなぜ必要であるのかについて、建設業法では以下のように営業所について定められています。

    (建設業法第3条第1項)
    建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
    ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

    さらに営業所の定義として以下のように定められています。

    (建設業法施行令第1条)
    建設業法第三条第一項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。

    つまり、上記2つの条文をまとめると、許可を受けたい業種以外の軽微な建設工事(※)のみを請け負う場合を除いて、建設業許可としての営業所(実際に建設工事の請負契約をする事務所)を設置しなければならないということです。

    ※軽微な建設工事については以下の記事(1-1. 建設業許可の必要性)を参照してください。

    また、建設業許可制度の目的は主に以下の2点にあると考えられています。

    • 発注者の保護を図ること
    • 建設業の健全な発展を促進すること

    建設業許可を取得していることは、信頼できる建設業者であることの証明でもありますし、発注者もそのような建設業者の方に業務を依頼したいと思うのではないでしょうか。

    このような背景から建設業許可としての要件を満たした営業所が必要となってくるのです。

    営業所の要件

    では具体的に営業所はどのような要件を満たせばよいのでしょうか。営業所は、以下の①~⑤の要件をすべて満たす必要があります。(東京都の場合)

    • 外部から来客を迎え入れ、 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
    • 電話・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、 他法人または他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されていること(※)
    • 経営業務の管理責任者・専任技術者が常勤していること
    • 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること)
    • 看板、標識等で 、 外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること

    ※ 同一法人で本社と営業所が同一フロアである場合は、仕切り等は必要ないが、明らかに他の営業所と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とする必要があります。

    ①~⑤のそれぞれを見ますと、「実際に建設工事の請負契約をする事務所」として必要な条件が掲げられていることがお分かりになると思います。

    営業所は自宅でも大丈夫?

    ここまで営業所について説明してきましたが、その営業所が自宅でも大丈夫なのでしょうか?

    結論しては、原則として自宅でも認められます。ただし、営業所の部分と居住部分とが適切に区別されているなど独立性が保たれている必要性があります。

    独立性が保たれているとは、営業所が居住部屋と独立した部屋であることや居住部分とパーテーション等で区別されていることです。

    特にパーテーションで区別する場合には、パーテーションが透明でないこと、高さが低くないこと、簡単に移動できないこと等が必要となります。
    また生活スペースと区分されていることが分かる間取り図も必要になります。

    営業所として認められるかどうかは許可行政庁により判断が多少異なります。弊所の所感ですと東京都の場合は他の県よりも少し厳しく見られている印象があります。

    まとめ

    今回は建設業法による営業所定義と建設業許可を取得するにあたり、営業所が自宅でも大丈夫であるのかについて解説しました。

    原則として、営業所は自宅でも認められますが、適切な区別方法で独立性が保たれていることが必要です。

    弊所のお客様(営業所兼自宅)で建設業許可を取得された建設業者様はたくさんいらっしゃいますので、判断に迷う場合はぜひ弊所までお問い合わせいただけますと幸いです。

    以上です。ご参考になりましたでしょうか。

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