こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは建設業許可を専門としており、建設業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。
今回は「施工体制台帳等」について、そもそもどういうものなのか、どのような場合に必要となるのかについて解説します。
特に公共工事を実施していきたいと考えている方や特定建設業許可を取りたいと検討している方は、本記事を最後までお読みいただけますと幸いです。
施工体制台帳等とは?
施工体制台帳等とは、施工体制台帳及び施工体系図のことをいいます。
- 施工体制台帳
- 施工体系図
※施工体制台帳及び施工体系図に再下請負通知書、作業員名簿を含めて施工体制台帳等という場合もあります。
では、施工体制台帳及び施工体系図の概要を解説いたします。
① 施工体制台帳
下請・孫請など工事施工を請け負う全ての業者名、各業者の施工範囲、 工期、各業者の技術者氏名等を記載した台帳のことをいいます。元請が工事が開始される前までに作成しておく必要があります。
施工体制台帳の作成を義務付ける主な目的は以下のとおりになります。
- 施工上の安全と品質を担保する
- 工期や工程における遅延・トラブルの防止
- 一括下請負などの建設業法違反や不適格業者の参入を阻止
- 生産性の低下につながる不必要な重層下請構造を防止する
② 施工体系図
施工体系図とは、施工体制台帳に基づいて、各下請負人の施工分担関係が一目で分かるようにした図のことです。施工体系図を見ることにより、工事に携わる関係者全員が工事における施工分担関係を把握することができます。
施工体系図の作成義務は、施工体制台帳の作成義務のある建設業者になります。
つまり、施工体制台帳の作成義務者は施工体系図も作成する必要があるということになります。
また、施工体系図は工事の期間中、工事関係者が見やすい場所に掲示する必要あり、工事中に下請業者等が変更となった場合は、すみやかに施工体系図の該当の箇所を変更する必要があります。
施工体制台帳を作成する必要のある工事とは?
では施工体制台帳を作成する必要のある工事とはどのような場合なのでしょうか?
施工体制台帳の作成義務のある場合とは、以下2点になります。
① 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業許可業者が、当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,500万円(建築一式工事:7,000万円)以上となる場合
② 公共工事発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が当該工事に関して下請契約を締結した場合
ポイントとしては、①では元請けとしての立場で工事(4,500万円(建築一式工事:7,000万円以上))を下請けに出す特定建設業許可業者のみが施工体制台帳の作成が必要となります。
こちらは特定建設業許可が必要となる工事のことになります。
①には金額の制限がありますが、②の公共工事においては金額の多寡にかかわらず、必ず施工体制台帳の作成が必要になるということです。
施工体制台帳の詳細について
続いて、施工体制台帳の詳細について見ていきましょう。具体的には以下の台帳を作成する必要があります。
① 施工体制台帳の記載内容
施工体制台帳は以下の情報を記載する必要があります。
元請負人に関する記載内容 | 下請負人に関する記載内容 |
---|---|
建設業許可の情報(許可業種・許可番号・許可(更新)年月日) | 会社名・代表者名等の情報 |
工事の内容・発注者及び住所・工期 | 工事の内容・工期 |
契約営業所 | 建設業許可の情報(許可業種・許可番号・許可(更新)年月日) |
健康保険等の加入状況 | 健康保険等の加入状況 |
発注者の監督員名等の情報 | 現場代理人名等の情報 |
元請業者の監督員名等の情報 | 主任技術者名等の情報 |
監理技術者名・主任技術者名等の情報 | 安全衛生責任者名・安全衛生推進者・雇用管理責任者等の情報 |
専任技術者名等の情報 | 専任技術者名等の情報 |
外国人材の従事の状況 | 外国人材の従事の状況 |
② 施工体制台帳の添付書類
施工体制台帳には台帳を作成するだけでなく、以下の添付書類も準備しておく必要があります。
施工体制台帳の添付書類 |
---|
発注者との契約書の写し |
下請負人との契約書の写し (注文・請書及び基本契約書又は基本契約約款等の写し) |
配置技術者(監理技術者等)が資格を有することを証する書面 (専任を要する監理技術者の場合、監理技術者証の写しに限る) |
専任技術者等を置いた場合は資格を証明できるものの写し (国家資格等の技術検定合格証明等の写し) |
配置技術者(監理技術者等)の雇用関係を証明できるものの写し (健康保険証等の写し) |
施工体系図の詳細について
次に施工体系図の詳細について見ていきましょう。具体的には以下の体系図を作成する必要があります。
施工体系図は以下の情報を記載する必要があります。
施工体系図の記載内容 | |
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発注者名 | 専任技術者名の情報 |
工事名称 | 会長・副会長 |
元請名・事業者ID | 統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者 |
監督員名 | 工期 |
監理技術者名・主任技術者名等の情報 | 工事(下請業者)の情報 |
まとめ
今回は「施工体制台帳等」について、そもそもどういうものなのか、どのような場合に必要となるのかについて解説しました。
施工体制台帳等の作成は以下の場合に必要となりますが、こちらを一から建設業者のみなさまが作成するのは大変だと思います。
① 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業許可業者が、当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,500万円(建築一式工事:7,000万円)以上となる場合
② 公共工事発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が当該工事に関して下請契約を締結した場合
以上です。ご参考になりましたでしょうか。
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