建設事業を法人化(建設会社設立)して建設業許可を取得したい! ~建設業専門の行政書士が注意点を解説します!~

    こんにちは。東京都八王子市にある行政書士MSオフィス代表の森本さやかです。当オフィスは建設業許可を専門としており、建設業に関するあらゆるお悩みを解決すべく、皆様のサポートをさせていただいております。

    今回は建設事業を営んでいる個人事業主や一人親方の方が新たに建設会社を設立して、建設業許可を取得したいと考えている場合にどのようなことに注意しておかなれければならないのかを説明いたします。

    また注意点のみならず、一般的な会社設立の流れや建設業許可取得の要件も併せて説明させていただきます。

    目次

    「法人化(会社設立)」と「建設業許可取得」の流れ

    まず一般的な「法人化(会社設立)」と「建設業許可取得」の大まかな流れを説明いたします。
    法人化(会社設立):STEP1~4(緑色) 建設業許可取得:STEP5~7(オレンジ色)になります。

    弊所では以下一連のサポートをさせていただいておりますのでお気軽にご相談いただければと思います!

    STEP
    会社概要の決定

    会社を設立するにあたり、会社の基本事項を決める必要があります。例えば以下のようなものを最低限決めておく(確認しておく)必要があります。

    • 目的(事業目的)
    • 商号(会社名)
    • 本店の所在地
    • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
    • 発起人(株主)
    • 発行可能株式総数と設立時発行株式数
    • 役員(取締役、代表取締役など)
    • 株式譲渡制限の有無
    • 事業年度
    STEP
    定款の作成・認証

    定款とは「会社のルールをまとめたもの」で、ステップ①で決定した会社概要を基に定款を作成する必要があります。

    気を付けるべき点は「絶対的記載事項」を漏らさないようにすることです。
    (ステップ①で網羅されています)

    また、株式会社の場合は定款を作成するだけでなく、公証役場で認証を受ける必要があります。

    STEP
    出資金(資本金)の払い込み

    発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は出資者全員が、発起人または設立時取締役のうち誰か1人の銀行口座に出資金を払い込みます。このとき払い込んだ金額が「資本金」となります。

    STEP
    会社設立登記(※)

    会社設立に関して、登記申請書を作成し、定款や資本金の払込証明書、役員の就任承諾書など必要な書類を添付して法務局へ提出する必要があります。

    ※弊所では提携の司法書士の先生が実施いたします。

    ここまでが会社設立の概要になります。

    STEP
    建設業許可申請準備

    会社設立が完了したら、建設許可申請準備を実施いたします。建設業許可を取得するためには大きく分けて6つの許可要件を満たす必要があります。

    STEP
    建設業許可申請

    許可要件を満たして、実際に申請に必要な書類を集めたら許可を受ける行政庁に申請をします。

    実務経験の証明方法によっては膨大な資料を準備することになりますので、該当の資格を取得するのがおススメです。

    STEP
    建設業許可通知書の受取

    無事に審査が通れば、申請後約1か月後に許可通知書が郵送されます。(東京都の場合)

    建設事業の法人化(建設会社設立)の注意点

    一般的に会社設立をする場合と異なり、建設業許可の取得を見据えた場合には以下の5つに注意する必要があります。

    • 法人化と建設業許可取得の順番
    • 経営業務の管理責任者
    • 専任技術者
    • 定款の目的
    • 資本金

    それでは具体的に見てきましょう。

    ① 法人化と建設業許可取得の順番

    前章『「法人化(会社設立)」と「建設業許可取得」の流れ』に記載したとおり、法人化(会社設立)を実施した後に建設業許可を取得するようにしましょう。

    個人事業主や一人親方でも建設業許可を取得することはできますが、許可取得後に法人化をすると許可の引継ぎが困難になる場合もありますので、法人化予定の方は先に法人化してから建設業許可を取得するようにしましょう。

    ② 経営業務の管理責任者

    経営業務の管理責任者(以下経管と呼びます)とは建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する常勤の役員等であり、建設業の営業取引上、対外的に責任を負う者のことです。

    株式会社の場合、経管は原則として取締役である必要があります。(もちろん代表取締役でなくても構いませんが、監査役は認められていません。)よって、法人の取締役として登記されている必要があります。

    また経管になるには5年の建設業の経営経験(取締役経験等)が必要ですが、これは個人事業主経験と法人の取締役経験を合わせることができます。

    そのため会社設立後も、個人事業主時代の確定申告書や工事の請求書等や通帳はきちんと保管しておきましょう。

    ③ 社会保険

    会社として社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)に加入する必要があります。

    ④ 定款の目的

    定款の目的には建設業を実施していることがわかるように記載する必要があります。基本的には許可取得予定の業種(建設業の29業種の内から)をそのまま記載するのが一般的になります。

    後から定款の変更すると各種費用がかかるため、建設業許可を取得する予定のある業種についてはあらかじめ目的欄に記載しておくことをおススメいたします。

    ⑤ 資本金

    会社設立後に初めて建設業許可を取得する場合には「一般建設業許可」を取得する方がほとんどになりますので、一般建設業許可を例にとって説明させていただきます。

    一般建設業の「財産的基礎」の要件を満たすには以下のいずれかが必要になります。

    • 自己資本が500万円以上あること
    • 500万円以上の資金調達能力があること

    自己資本とは、貸借対照表の純資産の合計額のことです。資本金が500万円以上であれば他(繰越利益剰余金等)にマイナスがない限り要件を満たします。なお、申請時における直近の決算で満たしている必要があります。

    もちろんスモールスタートで最低限の資本金にしたい場合もあると思います。申請時点で繰越利益剰余金が積みあがって自己資本が500万円を満たす場合もありますし、自己資本が500万円を満たせない場合でも、法人名義の口座で500万円以上の残高証明書等が用意できれば要件を満たすことができます。

    まとめ

    今回は建設事業を営んでいる個人事業主や一人親方の方が新たに建設会社を設立して、建設業許可を取得したいと考えている場合にどのようなことに注意しておかなれければならないのかを説明いたしました。

    会社設立から建設業許可取得までは長い期間を要し、また建設業特有の知識も必要になってくるので専門家にご相談してみることをおススメいたします。

    弊所では上記一連のサポートをさせていただいておりますのでお気軽にご相談いただければと思います!

    以上です。ご参考になりましたでしょうか。

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