1.経営事項審査とは?
元請けとして公共工事を受注することで新たな売上の柱を作りたい。
入札に参加したいが、いつまでに何をすればいいのか分からない。
経営事項審査を受けたいが、書類の準備や審査ポイントが複雑でなかなか難しそう。
経営事項審査とは、企業の経営規模、経営状況、技術力、その他審査項目(社会性等)を総合的に分析し、その企業の総合評定値(P)を客観的に算出する審査です。
2.経営事項審査を受けるメリット
経営事項審査を受けるメリットとして主に以下の3つがあります。
- 公共工事の入札の参加が可能になる
- 客観的な自社の経営力や技術力等について把握できる
- 要件が設定されている民間工事(経審の点数~以上等)に参加できる
経営事項審査を受けるメリットは大いにありますが、建設業に加えて建設業の会計・財務を理解していないと対応が難しい分野になります。
以降は専門的な内容になりますので、公共工事を実施したいが会計・財務が苦手な方は専門の行政書士にご相談されてみてはいかがでしょうか。
3.総合評定値(P)の算出方法と審査項目
経営事項審査とは総合評定値(P)は算出することになります。式の説明としては以下になります。
P= 0.25 × X1+0.15 × X2+0.20 × Y+0.25 × Z+0.15 × W
経営規模:X1、X2
経営状況:Y
技術力 :Z
その他審査項目(社会性等):W
それぞれの係数は次のとおりです。
3-1.経営規模(X1、X2)
経営規模は下記の項目を基に算出されます。
- 完成工事高(X1)
- 自己資本・平均利益額(X2)
どのくらいの売上・利益を上げているのか、自己資本はどのくらいであるのかという観点で算出されます。
(詳細は以下から参照してください。)
3-2.経営状況(Y)
経営状況は下記の項目を基に算出されます。この点数は、経営状況分析機関によって算出されます。
- 純支払利息比率
- 負債回転期間
- 売上高経常利益率
- 総資本売上総利益率
- 自己資本対固定資産比率
- 自己資本比率
- 営業CF(絶対額)
- 利益剰余金(絶対額)
絶対額でみる項目もありますが、概ね基本的な収益比率・財務比率を基に算出されます。
3-3.技術力(Z)
技術力は下記の項目を基に算出されます。
- 技術職員数(業種別)
- 元請完成工事高(業種別)
詳細は以下の記事を参照してください。
3-4.その他審査項目(社会性等)(W)
その他審査項目(社会性等) は 下記の項目を基に算出されます。
- 担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)
- 建設業の営業継続の状況(W2)
- 防災活動への貢献の状況(W3)
- 法令遵守の状況(W4)
- 建設業の経理の状況(W5)
- 研究開発の状況(W6)
- 建設機械の保有状況(W7)
- 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況(W8)
- ワーク・ライフ・バランスの取組の状況(W9)
- 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W10)
W1~W10の詳細は以下の記事を参照してください。
担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)
建設業の営業継続の状況(W2)
防災活動への貢献の状況(W3)
法令遵守の状況(W4)
建設業の経理の状況(W5)
研究開発の状況(W6)
建設機械の保有状況(W7)
国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況(W8)
ワーク・ライフ・バランスの取組の状況(W9)
建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W10)
4.経営事項審査から入札までの一連の流れ
入札に参加するまでの大まかな流れとしては下記のとおりです。
(前提として建設業許可取得後)
決算変更届→経営状況分析→経営事項審査→ 入札参加資格審査→入札
更に具体的なフローで表すと下記の通りとなります。 経営事項審査は赤い箇所が該当します。
毎事業年度の所得を計算して申告し、税金を納めるための一連の手続きのことで、通常は自社若しくは顧問税理士の先生が行います。
STEP1の確定申告をする際に作成した決算書から組み替えた建設業財務諸表やその事業年度の工事経歴書等を提出をします。
STEP2で提出した建設業財務諸表をもとに登録経営状況分析機関に経営状況分析を申し込みをします。
(およそ1週間程度で経営状況分析結果通知書が到着)
STEP3の経営状況分析結果通知書と必要書類を準備し、経営事項審査申請をします。
(およそ2週間~1ヶ月で経審結果通知書が到着)
STEP4の経審の点数を参考に、入札に参加したい省庁、地方公共団体等に対して入札参加の登録をします。
STEP5の入札参加登録が完了すると、役所ごとの建設業者リストに掲載され、ランク分けが行われます。ランクごとにさまざまな金額の入札案件があります。
役所のホームページ等で実際に携わりたい工事案件を見つけて入札に参加します。基本的に電子入札になります。
5.経営事項審査の有効期間
経営事項審査は、審査基準日(通常は決算日)から1年7ヶ月の間有効です。公共工事を定期的に受注していきたいと考えている建設業者様は毎年経営事項審査の受ける必要があります。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。経営事項審査を受け公共工事を受注するメリットは大いにありますが、建設業に加えて建設業の会計・財務を理解していないと対応が難しい分野になります。
公共工事を実施したいが会計・財務が苦手な方は専門の行政書士にご相談されてみてはいかがでしょうか。
弊所では以下の報酬でお客様の入札参加のサポートをさせていただいております。
分類 | 報酬(税込) |
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建設業経営事項審査申請 | 88,000円~ |
経営状況分析申請 | 33,000円~ |
入札参加資格審査申請 | 88,000円~ |
以上になります。ご参考になりましたでしょうか。
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